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見た映画とか円盤とか、読んだ本とか、聞いた音楽とか。備忘録代わり。

Feb 9, 2016

 

追憶と、踊りながら [DVD]

追憶と、踊りながら [DVD]

 

母子家庭、息子はゲイ、母親へのカミングアウトなし、息子が死んで残されたその恋人と母親のやり取り、というアウトラインに否応なく「トム・アット・ザ・ファーム」の影がちらつく。細身イケメン同士のにゃんにゃんなので女性受けは圧倒的にこちらが有利だろうけど、他方ドランの、DV兄のパワープレイや裏側に潜む脆さ、彼の支配者たる母親、残された者としてのトムの狂気といった、剥き出しでグロテスクなやり取りに平伏させられた記憶もまだ新しい今、多少の物足りなさは感じた。
例えば始めから終りまで何度となく触れられる「におい」の話。感覚や記憶の起爆剤たるそれを種に何か展開するのかと思ってたけど、決定的なものはなく、分かりあえたような、やっぱり本質的にはすれ違っているような、曖昧な後味だけが残る。

差し込む日差しを浴びて白いシーツに沈む、石膏めいたウィショの裸は女子として普通に興奮したので、そういう意味では見てヨカッタ。