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見た映画とか円盤とか、読んだ本とか、聞いた音楽とか。備忘録代わり。

Mar 16, 2016

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The Big Short 130min

予告のチャンベールがギャング映画全盛期のデ・ニーロっぽいという、本当にただそれだけの理由で観てきた。
ウルフ・オブ・ウォールストリート」を連想させる黄色地のポスターに、副題 "華麗なる"大逆転。上映前の予告には「レヴェナント」(上映待機作としてスクリーンの真横にもレオのポスターが貼ってあった)。あからさま過ぎてドン引きレベルのサブリミナル戦略に怯みつつ、逆に「ブラック・スキャンダル」での徹を踏むまいと構えることができたので、今回は予想と実際のギャップに悩まされることなくきちんと楽しめた。

人の認識なんて曖昧なもので、今日は昨日と同じで、明日もそうなるんだと無意識化で信じ切ってしまう。住宅バブルが弾け、全世界にパンデミックし、事実多くの人が窮地に立たされたのに、わずか7・8年後には「そんなこともあったね」なんて目を細めている。
住宅バブル崩壊の責任の所在はどこで、誰が負ったのか。家を追われた人々は、不動産業者は、トレーダーは、どうなったのか。そもそも本当に収束したのか。リアリティ番組風の安い演出と個性的なキャラクター、端々にちらつくポップカルチャーの残像が全体を風刺の効いたブラックコメディに仕上げてはいるものの、パンフレットでの言葉通り、これは失敗から学ばない現代社会を映したホラードキュメンタリーでもある。

そんなわけで"華麗なる大逆転"はないし、"ウォール街vsアウトロー"なんて構図も存在しないし、予告編は的外れだし、いいかげん日本の映画界も学んでくれよと思う。ヘイトフル・エイトにしろ、白鯨にしろ、これもある種のホラーだよ。